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ニュースリリース

欧州化学品規制REACHにおけるDEHP(DOP)最近の状況
 
2012年11月16日


「REACHデンマーク制限提案は棄却の方向へ。認可申請の準備は着々と進められている。」

昨年4月デンマークから提案された、REACH規制下でのDEHPを含む4種のフタレートに対する制限案は一度、欧州化学品庁(ECHA)から不適合の指摘を受け、再提案されて2011年9月正式に受理され、パブリックコメントが募集されました。世界各国利害関係者からのECHAへの意見書提出(可塑剤工業会ニュースリリース2011.12.26参照)を受け、ECHAのRAC(リスク評価専門委員会)及びSEAC(社会経済分析専門委員会)両専門委員会の検討結果を経て本年6月15日最終案が公表されました。

RACの結論:「4種のフタレートからの複合暴露によるリスクはなく、デンマークから提出された制限提案は正当化されない」
http://echa.europa.eu/en/web/guest/view-article/-/journal_content/926431e7-3a71-4f06-b22c-9c6b54966df3
SEACの結論:「RACの結論を考慮し、SEACはこの制限案を支持する根拠をもたない」
SEACは彼らの意見書案に対し2012年9月3日までに利害関係者からのパブリックコメントを求めました。
http://echa.europa.eu/en/view-article/-/journal_content/2e01920a-31e3-40f3-8cb7-85af5906a324

可塑剤工業会も後述するようにこのパブリックコメントに対し意見書を提出しました。

関係者の情報を集約すると、現時点で、デンマークによる提案は棄却される見通しが大きいようです。

SEACは上記パブコメを受けて2012年12月15日までにECHAとして意見を集約し欧州委員会に提案。欧州委員会ではこの提案を受け、デンマーク制限提案による法改正又は棄却について遅くとも来年3月までに決定する予定です。

以上の状況から、今後DEHPに対するREACH上の注目点は認可(Authorisation)申請とその取得の帰着に焦点が移っているようです。

ご存知のように、DEHPは昨年2月、高懸念物質(SVHC)から「認可対象物質」に指定されました。認可申請期限が来年2013年8月21日となっています。これに対し欧州可塑剤工業会低分子フタル酸エステルグループはタスクフォースを組んで鋭意申請準備中です。可塑剤工業会もこのグループとは常に情報交換を密にしその進捗状況把握に努めています。2010年末このグループが来日し、関係各ユーザー様方にはご説明をさせていただきましたが、現時点でも、認可申請でカバーした成形品(用途)について認可取得を確信しています。今後強力な代替品の出現がない限り、認可を得て2015年2月21日の日没日(sunset date)以降も継続使用を期待しています。

当該取り進めに当たり、特にECHAへの意見書提出では、国内外関係各機関の方々のご協力を賜りこの場を借りて感謝申し上げます。




可塑剤工業会は上記ECHAへの第1次パブリックコメントに引き続き、SEACの意見書案に対する第2次パブリックコメント募集に対し次のような意見をを提出いたしました。

SEAC(社会経済分析専門委員会)によるデンマーク制限提案
に関する意見書案に対する意見書

日本可塑剤工業会(JPIA)
(Japan Plasticizer Industry Association)

[緒言]
 上記提案についてコメントの機会を与えられたことを歓迎する。

 JPIAとは日本国内で可塑剤の製造販売を行う企業が組織する工業会である。

 SEACが今回の意見書案に、既提出の我々の意見書に記載した相当な部分を取り入れていただいていることにJPIAは敬意を表する。

 RAC、SEACの意見書案は科学的観点を基本としたリスク評価手法やREACH規則運用上の解釈に関する問題等、本質的課題を内包している。

 RAC,SEACの意見書案には、当該フタレートは勿論のこと、特定の化学物質に限定することなく、ややもすると予防原則の乱用に繋がりかねない広範な規制適用の潜在的可能性を抱えている。故に、我々は重大な懸念を持っている。

[要望]
デンマークの提案した4種のフタル酸エステル制限に関するRAC、SEAC意見書案には、以下の論拠によりいくつかの点で重大な懸念がある。従って今後、関連する規制の適用に当たってはより慎重な基準の設定および、正当なプロセスを着実に実施することをお願いする。

[要望の論拠]
1. Combined effectsの厳密な適用
 本意見書で記すCombined Effectsとはデンマーク制限提案で使われているCombined exposures、Dose addition、Combination effectsの他、同様の意味で使われるChemical mixrures、Cumulative risk 等を含む。
 SEAC意見書案ではデンマークの提案した4種のフタレートの複合暴露(用量加算)によるリスクは立証されないとしたRACの結論を考慮して、デンマークの制限提案を支持する根拠はないとしている。
 関連するRACの意見書のDose adittionの項目の中では、この手法の使用について、不確実性と保守性を考慮して、初期段階でのリスク評価(大まかなスクリーニング評価にだけ使用可能)に限定し、リスクが特定された段階で、多くの生物学に基づく手法が保証されているという考えを引用し、特に人への累積評価適用例を取り上げている。
 更に2012.5.31に欧州委員会は閣僚理事会への回答として公表された「化学物質の混合物の評価」1*において、用量加算アプローチについては安全性確保の観点から適当である一方、過大評価も懸念し、混合物のリスク評価を行う新たなワーキンググループ(WG)を設置し必要な科学的知識のギャップを埋めることを確認している。
 当該4種のフタル酸エステル混合系以外でも、非常に数多い化学物質は無限の組み合わせが予想され、これら混合系物質に対する規制を行う場合には、より慎重で、科学的基盤に基づいた定義、基準、試験・評価手法による透明性のあるプロセスで決定されるべきである。
 1* http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=IP/12/541&format=HTML&aged=0&language=EN&guiLanguage=en

2. REACH規制における認可と制限の重複
 デンマークによる制限提案は、既に認可対象物質となっている同じ物質群に対しREACH規則の枠組みを逸脱し、認可と制限が同時に重複して進行中である。
 SEAC意見書案ではこの件に関し、ほとんど見解を述べていない。このように、厳密な根拠もなく、制限を提案することはREACH規則対応に混乱を招き、法運用上の規約に則っていない。REACH規則第69条2項に従って現在進行中の認可プロセスを先行すべきである。

3. 内分泌かく乱作用の厳格な定義および試験法の確立
 RACの意見書によると、初期段階のリスク評価手法としてDose addition手法を適合と認めているがその根拠として当該4種のフタレートが抗アンドロゲン物質として同じ作用モードを持つとしている。
 デンマーク制限提案では抗アンドロゲン作用は内分泌化かく乱作用に関連しヒトへの生殖毒性(例えば不妊)等への原因を示唆している。これに対しSEAC意見書案では明確に判断できないとしている。
 内分泌かく乱問題は、現在世界中で科学的に確立されたコンセンサスは得られていない。本年1月発表された欧州委員会の報告書とそれに対する反論2*や本年6月欧州委員会が開催したシンポジウム等から、いまだ科学的に合意された状況には至っていない。従って引き続き科学的基盤に基づいた、定義、基準、試験・分析法の確立を図るとともに、内分泌かく乱を理由とした法規制は、透明で慎重な検討プロセスで決定されるべきである。
 2** http://informahealthcare.com/doi/pdf/10.3109/10408444.2012.690367




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